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「高倉 健の次?じゃあ俺もやろうかな」驚きのエピソードを明かす映画『ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―』トークイベント付き特別試写会レポート

更新日:4月30日


 5月18日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開する、ドキュメンタリー映画『ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―』のトークイベント付き特別試写会が、4月22日に駐日韓国文化院ハンマダンホール(東京・四谷)で行われ、フリーライターでラジオパーソナリティなどでも多方面で活躍する武田砂鉄をゲストに、本作企画・プロデュースの李 鳳宇、本作監督の松倉大夏が出席した。

映画『ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―』トークショーの様子。左から李鳳宇、松倉大夏、武田砂鉄(敬称略)

©2023 sumomo inc. All Rights Reserved.

 

扉を開けたら、ものすごくそこに広い世界があった

本作へコメントも寄せている武田は、本作を観る前の印象として、「配給会社から依頼があり、ポスターや作品紹介を読んだが、地味な映画ということは思った」としながらも、「観ていくうちに、さまざまな長い歴史であるとか、いろんな国や地域というものが重なり合って、大きく言えば、なんで自分たちが今ここにいるのかとか、今ここにそのものがあるのかというのが、蓋を開けてみればどんどん広くなっていったという感覚で、地味だなと思った扉を開けたら、そこにものすごく広い世界があった」と映画の感想を語った。

 

「高倉健の次?じゃあ俺もやろうかな」

本作を企画した李は、「沈壽官さんという人とは、20年くらい親交があるが、(沈壽官さんに)この映画の話をしたのは4~5年前で、沈さんは、最初はあまりやってほしくない感じだった。劇映画ばかり作ってきたが、ちょうど高倉健さんのドキュメンタリー映画『健さん』を作った後だったので、『健さん』の次なんですよと言ったら、沈さんが「じゃあ俺もやろうかな」と言ってくれた」というオファー時の微笑ましいエピソードを披露し、会場の笑いを誘った。

 

この先100年、200年と経ったときに在日韓国・朝鮮人という人たちはどうなっているのかのひとつの答え

武田からの司馬遼太郎の「トランスネーション」や「国家を超越していく」という言葉や考え方はこの映画の背骨になっていると思うが、企画の段階からそこに到達できそうな見込みはあったのか?」という質問に対し、李は「自分自身も、僕は在日韓国人の2世で、『パッチギ!』とか『月はどっちに出ている』とか色々作ってきて、韓国、朝鮮との関わりみたいなことを考えたことは何度かあったが、司馬さんの本に触れ、沈さんの物語を聞くにつれて、おそらくこの先100年とか200年とか経ったときに、在日韓国・朝鮮人という人たちはどうなっているのかと今でも思っているが、そのひとつの答えみたいなものが、沈壽官家にあるんじゃないかと思い、そういった物語もなんとか活かしてほしいというお願いを監督にした」と語った。それを受け、監督の松倉は「狭い尺度じゃなくて、広い尺度で歴史を捉えないといけないと、そういうことを念頭に置いて、沈壽官家のドキュメンタリーを撮りたいと思った」と当時を振り返った。


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強く日本人であることの意味

松倉監督の話を受け、武田は「司馬さんの言葉でもう一つ、その強い日本人ということでなくて、強く日本人であるということばを大切にされていて、このことばっていうのは個々によって受け止め方は違うでしょうけれども、ともすれば強い日本人というのは、いかに鍵括弧つきの「日本」というものを愛せるかとか、ほかの別のところから来る脅威から守れるかというものが強い「日本」ということになっている、それは大きな間違いだと思うんですけれども、「強く日本人である」ってことっていうのは、ともすれば今この日本がどういう国で、どういう場所であるかっていうことを、疑うとか、批判するとか、監視するっていう、その視点っていうのはすごく必要だなって思うんですよね。そのときにやっぱりいま監督がおっしゃったような、なんで今この歴史、ここにたどり着いているのかってことを考えたときに、先の戦争だけじゃなくて、もっと長いスパンでこう歴史をみていく、その視野を持つっていうのはすごく大事なことだなと改めて思った」とこの映画に対して印象を述べた。

 

ラストシーンはどうしても入れたかった

武田から松倉監督に「エンドロールが終わったあとのあのシーンというのは印象的でしたよね、すごく。あれは思い入れあったのですか?」と質問が飛ぶと、松倉監督は「あれはどうしても使いたいと思って編集していた。あの神社にいったときに蝶々が飛んでいるのをみて、沈さんの親への気持ちというものを表現するのにどうしても使いたいなと思っていたが、流れの中には入らなくて、なので、一番最後に入れるっていうのがいいんじゃないかなと話し合い、そういう結論に達しました」とラストシーンへの想いを語った。


 いろんな感想を持てる映画になった

「鹿児島での先行上映のときにもお客さんからさまざまな箇所に言及してもらった。いろんな感想を持てる映画になったと思うので、SNSでも感想をあげていただき、ぜひ広めていただきたい」と呼びかけ、イベントを締めくくった。


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『ちゃわんやのはなし―四百年の旅人―』は東京のポレポレ東中野、東京都写真美術館ホールほか全国で順次ロードショー。




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