

東京のとある住宅の暗室で一枚の写真が静かに浮かび上がる。
その写真は1964年のあの日の韓国、激動の歴史のただ中へと私たちを導く。
水俣病の記録で知られる報道写真家・桑原史成は、27歳で初めて韓国を訪れて以来、60年にわたり清渓川、米軍基地周辺のキャンプタウン、ベトナム戦争への派兵、民主化運動の爆発的な拡大など、激動の韓国現代史を、人生をかけて撮り続けてきた。
そこには血と汗と涙で染まった韓国人の熾烈で壮大なドラマが写り、刻まれている。
時には罵声を浴び、そして入国を拒まれてもなお、彼が韓国の地でシャッターを切り続けてきた理由は何だったのか。
そして、韓国での出会いから日本に移り住み、ずっと寄り添ってきた妻・和子の史成への想いも交差する。
高齢となった今、これが最後になるかもしれない旅へと向かい、写真にある「顔」を訪ねる。
水俣、ソウル、ハノイ、平壌などでこれまで撮影された約 100 万カットの中から厳選された力強い写真の数々とその生き様を通して、写真とは何か、記録とは誰のためにあるのかを静かに問いかけるドキュメンタリーが誕生した。
我々は歴史の生き証人と、同じ視線に立つ。

報道写真家
桑原史成
KUWABARA Shisei
1936 年生まれ、島根県出身。
1960 年東京農業大学・東京綜合写真専門学校卒業。
1962 年に水俣の写真で報道写真家としてデビュー。
主要テーマは「水俣」「激動の韓国」「北朝鮮」「ベトナム戦争」「ソ連邦崩壊」など。1997 年には郷里の島根県津和野に「桑原史成写真美術館」が開館。2014 年に土門拳賞受賞。2022 年には水俣に関わる写真家9人によって一般社団法人水俣・写真家の眼を設立し、プリントや関連資料の保存と活用を目指して活動を行う。
韓国において桑原氏の写真は重要な歴史的記録として高く評価され、多数の写真集の出版や写真展が開催されている。
<主な著書・写真集>
『水俣病』(三一書房 1965)
『生活者群像』(三一書房 1980)
『報道写真家』(岩波新書 1989)
『病める大国ロシア』(平凡社 1995)
『桑原史成写真全集』水俣、韓国、ベトナム、 筑豊、沖縄の全4巻(草の根出版会 2004)
『水俣事件』(藤原書店 2013)
『水俣を忘れない』(草土文化 2014)
『いのちの物語 水俣』(くんぷる 2022)
『水俣事件







映画監督
コ・ヒヨン
1966 年、韓国生まれ。
済州島出身のドキュメンタリー映画監督。
30 年間、ドキュメンタリー放送作家及び映画監督として活動し、100 以上のドキュメンタリーを制作。2000 年初めて訪れた中国・天安門広場で目撃した巨大な自転車の行列に衝撃を受け 2003 年北京で暮らし始め、現地で取材した多くのドキュメンタリーを制作。帰国後、2007 年にドキュメンタリー制作会社「Soom:Be」を設立。
主な作品に『ムルスム(水の息)』(16)、『プルスム(炎の息)』(19)、『水花(みずばな)の伝説』(22)等がある。
<Filmography>
2016 『ムルスム(水の息)』
★全州国際映画祭 審査委員特別賞受賞
2016 『SEE-SAW』
2019 『プルスム(炎の息)』
★全州シネマプロジェクト大賞受賞
2022 『水花(みずばな)の伝説』
★釜山映画祭ワイドアングル部門選出
★大鐘映画祭ドキュメンタリー部門ノミネート
2025 『Portrait of Photography』
2026 「もしかしたら起こるかもしれない奇跡」チェジュMBC放送












